こんにちは。ゆとりブロガーのヨシナオです。2週間くらい前に新宿に寄った時に、本屋でふと目に止まった暉峻淑子(てるおかいつこ)氏の『豊かさとは何か』を買って通勤の電車の中で読みふけってました。この本は、1989年という私が生まれる4年前に出版された新書なのですが、未だに内容が色あせていないだけではなく、むしろ、今読むと「日本って何にも変わってないし、これからますますやばいんじゃないか」と危機感を抱く内容になっています。
私的には、特に若い人にとってこの本は必読ではないでしょうか。読みやすいし、現代にはびこる日本の悪い部分を存分に披露しております。暉峻氏の本は『社会人の生き方』も読みましたが、非常に的を得ていて、日本人として今後の日本を良くするためのアイデアがかなり含まれております。
バブル期から何も変わってない日本
さて、この本は日本がバブルで浮かれている頃に出された本です。日本国民が働けば働くほどお金を得て、モノを得た時代にあえて「豊かさ」って何かという問いを日本社会にぶつけた本です。
バブル期はモノが溢れ、みんながいろんな高級なモノを身につけることが「豊か」であるとされてきた時代です。いい車に乗り、中にはクルーザーまで所有した人もいたそうですね。
しかし、バブルは崩壊し値段はデフレによって急落するというのが1990年代から如実に現れた日本の現実です。当然給与も安くなり、その後も上がらない状況が続いています。働けば働くほどもらっていた残業代を今はサービス残業によって肩代わりしている時代です。
本の中で語られているのは、バブル期に働きずくめで金はもらえど精神的には全く充実していない日本の現実です。
そして、何よりも驚きなのはそんなバブルの時代が終わったのにもかかわらず、未だに日本はバブル期と同じような労働環境で、働けば働くほど幸せになれるという幻想を抱いているということです。
実際は違います。今は働きまくるよりもゆとりを持って生きる方が何倍も大切な時代です。なにもかかかわらず、バブル期の観念をそのまま20年も受け継いでいることがわかります。ありえないですよ。
変わらない国、変わろうとしない人々
本書では度々、日本と西ドイツ(1989年当時はまだ分断されていた)の比較が出てきます。そこで、日本がいかに変化を求めず既得権益にしがみつこうとしているのかをまざまざと見せつけられます。
例えば、ドイツは市民団体がたくさんあり。どの団体も国から援助金をもらって国を良くする活動をしています。日本じゃ考えられませんし、「国を良くしよう」なんて言ったら偏見の眼差しで見られるでしょう。
また、障害者や老人や幼い子供や妊婦に対しては、国が手厚く保護し、人権の確保のみならず彼ら彼女らが充実した生き方ができるよう金銭面や物理的な面からサポートをしております。
日本だと、お金がある人は良い介護のサービスを受けられるし、お金がない人は公営の機関の空きが出るのを待つのみです。これって豊かと言えるのでしょうか。
何よりも驚きなのは、こういう状況が本を出版した1989年当時と2016年現在で全く変わってないことです。そして、それを変えようとしない日本国民・・・大丈夫なのでしょうか。
本来、国は民衆の手によって築かれるものです。ということは、待機児童問題やら老人ホームに入れない高齢者の問題等は、この国に生きる人全員が共同で作った問題なのです。なのにもかかわらず、当事者意識がなく問題のみに目を向けるということが今の日本で起きています。なんかこれっておかしいです。
自分の国を変えるのはその国の人しかできないのですから、もっと現実に起きているニュースに対して当事者意識を持つべきです。
ドイツ人なんて、常に自分の生活と自分の国を良くしようとして、行動をしています。それに比べりゃ日本人はそういう観念が圧倒的に欠けています。
何かに追われている日本人
日本人って何かに追われています。追われているというより背負っていると言っても正しいかもしれません。
中高生は偏差値に追われているし、大学生は内定獲得に追われていますし、社会人は社内的に出世、社外的は住宅ローンに追われています。それでもやっぱりモノがあると安心するから人々は借金をしてでも何かを購入するのですね。
こういう現実を見ると、日本ってバブルの頃から全く豊かではないですね。むしろ、精神的にとても貧しい国です。
何かにずっと追われながら、自分の好きに使える時間がないなんて哀れです。そして、その状況が20年前から全く変わってないことがもっと驚きです。
ドイツでは20年前から労働時間をいかに短縮するかを議論し、程よい労働時間と自分の時間を持つkとが豊かさであると定義しています。何かに追われている日本とは全く違いますね。
変わらないと大変なことになる
日本は先進国です。でも、本書を読むと本当に進んだ国なのか疑問が出てきます。むしろ精神的にはかなり後進国なのではないかと思えます。
もっと一人一人の豊かさに目を向けないと、少子化はどんどん進むし、今以上に非常に生きにくい世の中になるでしょう。
こういう問題は特に、自分と同世代の若い人に持って欲しいですね。
だから、この本は若いひと必読です。
必ず得るものがあります。