国際関係論を学ぶ際に役に立つ新書紹介

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こんにちは。エストニア の大学院に留学しているヨシナオです。今日は少し真面目に国際関係論について本の紹介をしたいと思います。

国際関係論は主に西欧で教えられている比較的歴史が浅い学問であり、日本でも触れる機会は少ないと思います。私自身も留学して学んでいますがわからないことばかりです。

ただ、国際関係って言葉って少しかっこいいですよね。日本の文系学部でも国際と名がつく学部は人気な傾向があります。ただ、人気なだけでは学問ではないです。そこで、今回は国際関係を学ぶ上で役に立ちそうな本を4冊紹介します。これらは実際に大学院に来て学びながら読んで役に立った本です。新書なので基本的に書店で求めやすいものだと思います。参考にしていただければ幸いです。

もちろん、挙げる本が本当に役に立つかは主観が100%なので実際に本屋で手に取ってみたりしてくださいね。あくまでも参考程度で。

『いま平和とは』

一冊目は早稲田大学政治経済学術院所属・最上敏樹先生の『いま平和とは』となります。岩波新書赤版の1000番目の本となります。国際関係論や平和学という学問はいわゆる国際間の衝突や非戦期間を多角的な視野から論じる学問と言い換えられるでしょう。一言で言えば平和を追求する学問と言っても過言ではありません。本書はその平和というものを学問的に噛み砕きながら論じた本であります。国際法学者が書いているので、非常に論理的な展開となっており気持ちだけで「平和だー!」となっておりません。暴力や人道的介入、人権等の学問分野をしっかり取り上げて丁寧に解説していきます。声高に平和を唱えるのではなく、冷静に一つ一つの事項を取り上げ論じていく筆者の姿勢は学問を追及する者にとっては非常に参考になります。また、巻末にワンステップアップの為の読書案内もあり、為になります。個人的には一人でも多くの人に読んでいただきたい良書だと感じております。まず手始めにこの本というのはいいのかもしれません。

『人道的介入』

二冊目はこちらも同じく最上敏樹先生の『人道的介入』です。こちらの本はその名の通り人道的介入について論点を当てて議論がなされてます。国際関係論を学ぶ上では必須の項目ですね。いわゆる、第三国で甚だしい人権侵害が起きている場合に他の国が介入して助けて良いか?というのが人道的介入です。とくに話題になるのは旧ユーゴスラビアの事例ですね。1990年代に発生した旧ユーゴの紛争では「民族浄化」という民族そのものを消し去ってしまおうという恐ろしいスローガンの元に殺し合いがありました。それを他の国が見殺しにしても良いかという議論です。コソボ紛争では争いを鎮めるために、NATO軍が空爆により介入をしましたが、まさかの空爆によって民間人犠牲者を多く出してしまいました。この場合、介入は正義なのでしょうか悪なのでしょうか?そもそも、正義の介入はあり得るのでしょうか?この点について論じております。ただ、極めて難しい問題でもあるので必然的に内容も難しいです。前に紹介した『いま平和とは』がこの本の橋渡しになっているので、それを読み終えてから読んでも良いかもしれません。

『国際正義の論理』

三冊目は青山学院大学国際政治経済学部所属・押村高先生の『国際正義の論理』です。この本はタイトルに「正義」とあるように正義論について述べていると思いがちですが、前半は国際関係論を述べて後半に正義論を述べている本です。個人的には国際関係論と国際正義論的なタイトルにすると名は体を表す形になるのではないかと感じました。中身はかなり硬派な国際関係論と正義論が論じられてます。私は大学院で国際関係論を学ぶ前に読んだのですが、最初は内容が掴みづらかったです。今、ワンセメスターを終わってから読むと腑に落ちる部分が多々あります。この本の内容をあらかじめ頭に入れてから国際関係論を学ぶと、かなりわかりやすくなるのではないかなと個人的に感じました。ただ、新しい概念がわんさか出てきますので、一つ一つ調べないとあっという間にちんぷんかんぷんになってしまいます。一読で理解できる人いるのかな?新書で大丈夫なのかな?と正直思いました。たった2ページの紙面に私が大学院の授業でそれぞれ1コマ使って議論した概念がポコポコ出てくるのです!個人的に面白かったのは後半の正義論ですね。国際社会の中でいかに正義を見出していくかという点で、文明の数だけ正義があると前提した上でどのように文明間の差を克服すべきかという話を展開しております。新書の紙面の都合で少し物足りない感はありますが、とても面白い議論でした。文明の中の共通項に着目し、仏教やイスラムや西欧の概念を出して共通性を見出す部分は博識だなと感じました。また、この本の巻末に載っている参考文献は国際関係論の中での教科書的なものが多く、本格的に議論したい人は読むべきでしょう。欧米の主流派のみならず例えば、日本の大沼保昭氏の本も取り上げながら議論を展開しているのは感服です。ただ、アマゾンレビューにもあるようになんか物足りないのも事実ですので、氏の専門書も読むと理解が深まるかもしれません。

『戦争とは何か』

四冊目は早稲田大学政治経済学術院所属・多湖淳先生の『戦争とは何か』です。この本は2020年に出版されている新しい本であり、私的にはマストバイの本です。国際関係やら紛争について勉強したいならこれ程役に立つ新書はないでしょう。氏は「科学的な戦争へのアプローチ」を使い、戦争や紛争のメカニズムを解き明かしております。この「科学的」というのがミソであり、データを用いてデータを分析し、理論を当てはめて戦争を突き詰めていくのです。経済学のナッシュ均衡理論等を駆使したり数学的な公式で戦争発生の原因を解き明かすので極めて極めて論理的であり、読者を納得させるものであります。私的にはまさに、目から鱗の本でした。最初の方でしっかりと国際関係論のアプローチやワードの定義を行い、その後に科学的なアプローチをしていきます。また日本についての章もあり、日本が例えばこれからロシア、中国、韓国等と戦争する可能性があるのかという点について議論していきます。最近の東アジアは対立を煽ることもあるのできな臭いですからね。そこに関しても氏の意見を知ることができます。個人的に氏の極めて論理的かつわかりやすい文章が素晴らしいと感じました。戦争については難しいですが、ここまでわかりやすい日本語で書いてくれていることにも感謝です。さらに、補遺として様々な機関が集めている戦争のデータセットや戦争研究に役立つブログ等も紹介してくださり、とても為になります。これは本当にマストバイでしょう。私はこの本を読んで、統計学や数学を本気で学ばないとこれから国際関係論を論ずるに値しないなと思いました。今は、デマを言い続けたらいつの間にか真実になってしまう時代です。ただ、しっかりと数字を用いて何かを証明する強さを身につけないと情報が溢れる社会で生きていくのは難しいのではと思ってしまいました。

最後に

ということで、個人的に国際関係論に役に立ちそうな新書を紹介させていただきました。興味ある人は読んでみてください。

実はここにあげた著者には共通点がありました、皆さん早稲田大学の政治経済学術院で教鞭をとっている(とっていた)先生方です。押村先生は青学所属ですが、早稲田の院とダブルで教えておりました。

別に早稲田だから選んだわけではなく、たまたま選んだ本がそうなっただけですが、逆に言えば早稲田大学ではかなりレベルの高い国際関係/国際政治の研究ができることを意味しているのではないでしょうか。実際に最後に紹介した多湖先生なんかは自身のHP(こちら)なんかでも著書や勉強法を紹介しており、学問への熱意がひしひしと伝わってきます。さすがは早稲田だなと思いましたね。私は逆に早稲田の教授陣を見てから、論文や本を探すようなこともしております。それだけ信頼が置けるのでしょう。

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